映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「百年と希望」 共産党…どう考えてもまともなことを言っているのに議席を取れないこの国

政治やりたいな。やりたいかな。と、一瞬でもそう思わせたならいい映画ってことですよね。日本の政治って例の学生運動以後たいていの国民は真剣になったことがないと思うんですよ。ひたすら経済や生活に目を向けて国のデザインや民主化を政治屋に任せてしま…

映画『ひまわり 50周年HDレストア版』 毒々しくひまわりが咲き誇る反戦映画であってほしくない

『ひまわり』は1970年のドラマ映画 若く陽気なバカップルだったアントニオとジョバンナは引き裂かれやがてふたりは白髪と皴の中年になった。本当に愛する人とは結ばれない。誰でもそうなのではないか。だからみなこの映画に涙する。いや、結ばれないからこそ…

映画「ボイリング・ポイント / 沸点」 アンディ、少しそこで倒れてなよ

90分間、驚異のワンショット ここに集う人物たちはあまりに忙しく哀れ昏倒するほど悩んでいる。本作はそんな現代の実情を見事に描いているがオレは、オレは、そんなことよりワンショットのことが気になって仕方ない!!「まじカメラマンすげー」「画角外の役…

映画「戦争と女の顔」 だったらこっちだって生きていく

■福岡KBCシネマの「鑑賞記」 ■オレの中の憎悪 ■戦争はなくならないという前提で ■それならオナニーする ■絶望の先進国 ■カンテミール・バラーゴフありがとう ■福岡KBCシネマの「鑑賞記」 福岡KBCシネマは体温を感じるミニシアターだ。いつもスタッフの声が聴…

映画「ナワリヌイ プーチンが最も恐れた男」 尊敬しすぎて、白けて、嫉妬して、このままでは敵視する

transformer.co.jp 妻・ユリアが画面に登場すると複雑な気持ちになってきた。 「なんだこいつら」 まるで”映画のごとき”美男美女の勇敢で正義の物語に卑小な自分が疼き出した。 ナワリヌイが政府の陰謀で瀕死となったとき、半ば監禁された病院に駆け付け「ア…

映画「恋愛の抜けたロマンス」 映画だって軽くて薄いほど価値がある

klockworx-asia.com かるくてうっすい作品である。『恋愛はしたくないけどぉ、さびしいからぁ、セックスはしたいんでぇ、デートアプリによってぇ、はじまるふたりの関係(^_-)-☆』ナノ!!かっるい!!かるすぎる!ナノかるぅぅぅぅぅい!というわけで鑑賞中…

映画「三姉妹」 絶望を経験した人の明日への眼差し

こんにちはノブです。 今日は全国で順次公開されている「三姉妹」です。 女優賞を席巻しているのも納得の面白さです。 いってみましょう! www.zaziefilms.com 客席から三姉妹たちを傍観しているつもりでいたら、終盤怒涛のように彼女たちの生活史に巻き込ま…

映画「エルヴィス」 君が40でボクが50になったらもう一度やり直そう

バズ・ラーマン監督の絢爛豪華で目まぐるしい映像は、エルヴィスがキング・オブ・ロックへ駆けあがるゴージャスさを描くのにとても似合っていた。 絶頂は、ラスヴェガスでの初日のステージだ。 熱狂に包まれて幕の降りたステージ。 エルヴィスは、ステージ中…

映画「わたしは最悪。」 倫理よりも先に傷ついてみたい。

こんにちはノブです。 今日はカンヌで女優賞を獲得している「わたしは最悪。」です。 「THE WORST PERSON IN THE WORLD」 なかなかのタイトルですね。 ではいってみましょう! gaga.ne.jp 愛くるしい主人公ユリアの”ジョロジョロ、ブッ”にオレは完敗しました…

映画「モガディシュ 脱出までの14日間」 私の中の”意識高い”を奪う映画

こんにちはノブです。 今日は7月1日公開の韓国映画「モガディシュ」です。 1990年ソマリア内戦における韓国&北朝鮮の大使館員を描いた作品。 今日も映画評っぽくないですね。 気軽にお読みください! mogadishu-movie.com 実話ベース。1990年のソマリア内戦…

映画「リコリス・ピザ」 身も蓋もない自分をさらすため、全力であなたのもとへ走っていく

こんにちはノブです。 今日はポール・トーマス・アンダーソン最新作「リコリス・ピザ」です。 アカデミー賞でも3部門ノミネーションでしたね。 今日のは映画評でも何でもないのでどうぞ気楽にお読みください。 www.licorice-pizza.jp アラナはドンドンドンド…

映画「PLAN75」 人間を人間たらしめているのは、共有ロッカーをていねいに拭けるということ

こんにちはノブです。 今日取り上げるのは早川千絵監督の長編第一作「PLAN75」です。 いってみましょう! happinet-phantom.com この映画には、我々観客が河合優実に真正面から見つめられる瞬間があります。 あの眼差しは誰のものなのか。 河合優美本人の目…