映画「わたしは最悪。」 倫理よりも先に傷ついてみたい。
こんにちはノブです。
今日はカンヌで女優賞を獲得している「わたしは最悪。」です。
「THE WORST PERSON IN THE WORLD」
なかなかのタイトルですね。
ではいってみましょう!
愛くるしい主人公ユリアの”ジョロジョロ、ブッ”にオレは完敗しました。
ユリヤちゃんに完封負けです。
さっき出会ったときめく異性に放尿を見せ、同時に放屁も聞かせ、はにかんで恥ずかしがるユリヤ。
・・・なんだコイツ。
オレの1ラウンドKO負けでです。
・・・いやいや、なんだコイツ。
共感などできません。
それでもユリヤを激しく羨望します。
ユリヤは、また学部を変え、また男を変え、また変なプレイをし、また面倒くさい哲学を言い出します。
しかし彼女がそんなふうに本能的に生きるたびに、オレは「最悪で最高」と心が踊るのです。
恋人のパーティーを独り抜け出して何だかユリヤ泣けてきちゃったと思ったら、なーーんの関係もない他人のパーティーにフラっと忍び込んで、初対面の男とイチャイチャして、秘密の話を打ち明けるね硬くなる前のチン〇が好きとか言い出し、おたがいの体臭を嗅ぎ合ってすげーいい笑顔で喜び合ったり、おしっこ見せ合ってたら同時にオナラ出ちゃったり、チューする代わりに相手の副流煙飲んだり、そんな感じで恋に落ちます。
・・・だから、なんだコイツ。
そんでもって恋人には「愛してるけど愛してもいない」から別れたいと切り出し、でもなんか流れでオーラルセックスされて可憐に身悶え、さよならファックして下半身すっぽんぽんでふたりして放心で横たわってたりします。ああいう野獣セックスのときって上は脱がないんだなぁ。
こう書くとユリヤは淫乱怪獣みたいですが、そうではありません。
笑顔が可愛いくて、なんというか自然な美しさです。
犬ころのように自由で愛おしいです。
走って、跳ねて、欲情して、黒目がちで、ほしいしいと吠えて、ちがうちがうとまた吠える。
・・・な、なんだコイツ。す、好きだ。
本能に突き動かされてしまうユリヤ。
そのたびにユリヤは「最悪」と自己嫌悪しています。
でもオレは本能に突き動かされることができるユリヤを「最高」と羨望します。
本能的に生きるのは最悪の結果を招くことも多いけれど、理性的に生きることが最高を招くわけではありません。
だからオレたちはなんとなく思っています。
どうせ幸せになることが簡単でないなら、本能的に生きてみたいと。
考える前に動く犬ころみたいに、
倫理よりも先に目の前の異性の裸にむしゃぶりついて、そして傷ついてみたいと。
”ジョロジョロ、ブッ”はオレの人生でできていません。
ユリヤの世界の方が圧倒的に広いです。
スカトロ映画みたいに書いてしまいましたが、クオリティが高く、哲学的でもあり、新しい人間像を提示している映画です。
で、ユリヤは幸せになれたのか?!
幸せなんてそもそも世界にはないのかもしれません。
どうでしょう。
今日もユリヤは最悪で最高な世界を生きているだけです。