映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

2021-01-01から1年間の記事一覧

映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」 普通の大人になれなかったのか、普通じゃない大人になれなかったのか

人の営みを、時と街の移り変わりととも見つめている作品。 ボクたちはみんな30歳前には死ぬと嘘ぶいていた。だから何かになろうともがいていた。 結局、ボクたちはみんな「普通の」大人になれなかったのか。それともボクたちはみんな「普通じゃない」大人に…

映画「由宇子の天秤」 監督の観客への信頼

「由宇子の天秤」はエンターテイメントで、ミステリーで、人間ドラマな作品です。 「正しさとは何なのか」というコピーがついてますが、社会的正義を描いたものではないと思います。手持ち長回し劇伴なしの映画なので、まるでドキュメンタリー映画を観ている…

映画「草の響き」 昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか

「草の響き」 www.kusanohibiki.com 監督・斎藤久志 原作・佐藤泰志 出演・東出昌大 奈緒 弱い光しか射さない函館の情景から映画ははじまる。 少年がスケボーの音を響かせる長いショット。 煤けた街並みではあるが、スケボーと一緒に長回しで疾走する景色が…

映画「空白」 あまたの演出家から愛される演劇界のエース

古田新太は劇団新感線のトップであり、あまたの演出家から愛される演劇界のエースだ。 劇団の代表作「髑髏城の七人」では主役の捨之介を演じ、華麗な剣さばきを披露する。 軽妙洒脱な捨之介が、唯一気持ちを見せるシーンがある。 その場に駆けつけることが遅…

映画「君は永遠にそいつらより若い」 若い人たちは変わっていけるのかもしれない

他者の痛みをわかろうとする主人公ホリガイ。 いや他者の痛みがわかっていないと自分を責めるホリガイ。 www.kimiwaka.com 「レディーバード」のように髪を赤く染めたホリガイ(佐久間由衣)は、派手な髪色とは裏腹にいつも困惑したような顔をしている。児童…

映画「ホロコーストの罪人」 ノルウェーという国に驚愕しながらスクリーンを見つめる

アウシュビッツ を題材にした映画を観るのは、映画を観ることの意義のひとつだ。 戦争、政治、事件、社会。 エンタメ以外のそういうもの。 ボクは日頃食ったり呆けたりはずいぶんとしているのに、大事なことについてはたくさん通り過ぎてしまっている。 全然…

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