2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧
PFFでグランプリを獲った気鋭監督の青春映画である。恥ずかしい。きっと私は苦り切った顔でスクリーンを観ていたことだろう。青春映画。バイクふたり乗り、ぶつかり合う裸、レコードとカセットテープ、ここではないどこかへ、赤いブラジャー、親との確執、喧…
冒頭から”やさしい”がありました。後部座席のネリーは運転中のママの口元に菓子を運ぶ。自分が食べているスナックをママにもひとつ、ふたつ、みっつと無言で口元へ。ママも素直にサクサク食べる。次にストローを差し出す。そろそろジュースでしょという感じ…
「こちらあみ子」のよい評判は聞いていた。主題性においても、撮影技法(哲学)においても傑作と評する方がいることを。封切り時は行けなかったが、今また劇場でかけてくれているので足を運ぶ。鑑賞後のことだが、『私もあみ子だった』『私の中にもあみ子は…
「そんなバカなことあるか、コラ」まるで小学校低学年のガキが考えたような映画の決着。なんだこれ金返せとでも言いたいところだが、笑うしかなかった。だって実話だというのだから反論のしようがない。だから本当に客席で笑った。私財を投げ打ち、貧しい生…
松井玲奈が演じる顔の左側にアザを持つアイコ。そんなアイコと一緒に旅するような100分の映画だ。彼女の内面に耳を澄ます100分間。 旅の始まりは彼女にアザがあることで、がんばれって気持ちで寄り添っていたかもしれない。アイコはやがて映画監督の飛坂(と…
深田晃司監督の「LOVE LIFE」があまりに素晴らしかった中、市の映像ホールで同監督の2011年「歓待」が公開されていた。監督の源流を観たくて足を運ぶ。そして返り討ちに合う。---------------------------------第23回東京国際映画祭日本映画・ある視点部門…
映画を観ているときというのは、たいてい思考が回転します。映画の場面に触発されて、過去を思い出したり、自分なりの意見が浮かんだりする感じです。それら思考は主に言葉で行われます。「ヘルドッグス」を鑑賞しているとき、思考はまったく回転しませんで…
荻上直子。やべぇ監督である。この作品の世界観を「ああ、癒されるぅ、いいなぁ」なんて思ったら焼きが回って、猥褻な資本主義社会に二度と戻れなくなる。宣伝コピー。『「おいしい食」と「ささやかなシアワセ」』バカ言うな、そんな映画じゃねぇだろ。何カ…
映画はこういうことさえできるのかと思い知る。主人公クラリスが見たもの、聴いたものは、本来ならば彼女以外は誰も共有できないはずのものだ。それはクラリスの主観であり、極めてパーナルな思念だからだ。しかしこの映画はそれを具現化した。絶対不可能と…
「人間とはなにか」が知りたくて映画を観る。知ったからと言って幸福に生きられるようになるわけではない。それなのになおも知りたいのだ。この得体のしれない自分というものがなんなのか。人間というものが、不気味で不安で仕方がないから、どうしても具体…
のんは男でも女でもない、男でもあり女でもある。のんは愚者でも賢者でもない、愚者であり賢者でもある。この作品を観ていると自分の世界観がのんによってガラガラと壊される。のんが学ランを着て堂々と男子を演じているのはどう考えてもおかしいはずなのだ…
”愚かな”クソジジイの映画だ。あやうく”まっとう”に生きようとして、私はとても焦るときがある。しかし、この老人ホームから抜け出してきた元ヘアドレッサーのジジイは、もう早晩死ぬというのに、なお生きているのが恥ずかしいほど愚かな行為を連発する。愚…