映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

映画「帰らない日曜日」 生れてきた時から奪われていた、その凄みをオデッサ・ヤングの裸が教えてくれる

「帰らない日曜日」(原題MOTHERING SUNDAY) みなさん、こんにちは、ノブです。 今日は5月27日公開の「帰らない日曜日」のレビューです。 惚れ込んでしまい2回劇場鑑賞してきました。 映画的にいいところだらけなんですが、以下をぜひ劇場で体感していただ…

映画「朝が来る」(再上映) 彼女の衝動を愚かと言ってしまったら、いったい何の人生なのか 

スクリーンで再び観られたこと 演技陣や撮影の魅力 蒔田彩珠演じるひかり 渾身の「朝が来る」というメッセージ 辻村深月原作 河瀨直美監督 「朝が来る」 一度は子どもを持つことを諦めた栗原清和と佐都子の夫婦は「特別養子縁組」という制度を知り、男の子を…

映画「シング・ア・ソング! 笑顔を咲かす歌声」(原題 「Military Wives」) 涙も反戦も許されない彼女たちにできること

「私、戦争と結婚しているの」 成長がないからこの映画は信用できる 軍人の妻は戦争反対と言えない 笑顔を咲かす歌声 「私、戦争と結婚しているの」 夫である軍人とその妻は基地内で暮らしています。 まだ若い妻のサラは夫をアフガニスタンに送り出し、今は…

映画「エレファント・マン 4K修復版」 死にたい気持ちと生きたい気持ち、アンビバレントにスクリーンを見つめるということ

自分がジョン・メリックなら生きていたいか 「だったらオレとセックスしろ」 アンビバレントにスクリーンを見つめ続ける 19世紀のロンドン。優秀な外科医トリーヴズ(アンソニー・ホプキンス)は、見世物小屋でエレファント・マンと呼ばれる青年メリック(ジョ…

映画「ワン・セカンド」  文革中国の空気感も、新星ヒロインも、圧倒的な映像美で魅せる巨匠チャン・イーモウ

「赤いコーリャン」「HERO」「初恋のきた道」のチャン・イーモウ最新作 「これ2022年公開の映画だっけ⁉」と鑑賞中に何度も思い返した作品でした。 「ワン・セカンド」は中国の巨匠チャン・イーモウの最新作。 1969年文革時代の中国を舞台設定にしていますが…

映画「ハケンアニメ!」 繊細さのないこの世の中で

東映がやってくれました 吉野耕平監督「ハケンアニメ!」 みなさん、こんにちは、ノブです。 今日は5月20日公開の「ハケンアニメ!」のレビューです。 たちまち虜になってしまうこの作品には、「ありがとう」と「ごめんね」を伝えたいです。 それでははじめ…

映画「死刑にいたる病」 すでにあるシリアルキラー

水中から岸辺を見上げたキャメラアングル。水の揺れと合わせて地上の景色もゆらゆら揺れる。おぼろげな様子だが、誰かが岸辺にやってきたのがわかる。人物の縁取りは青みがかって揺れていて、なんだか現実感がない。人物が手を高く挙げる。誰かに手を振って…

映画「流浪の月」 地獄の底で手をつないだふたり

さあ、2016年「#怒り」以来の李相日(リ・サンイル)監督の登場です。 「流浪の月」 前作「怒り」のキャストは覚えてますか。#妻夫木聡、#渡辺謙、#宮崎あおい、#綾野剛、#松山ケンイチ、#広瀬すず、#森山未來。もう列挙するだけで震えるオールスターですが…

映画「オードリー・ヘプバーン」 愛されることではなく愛を与えること

瘦せすぎ、鼻も大きい、足が大きいのも嫌い。 オードリーは1929年生まれ、世界恐慌の年だ。「ローマの休日」の愛くるしい笑顔と無邪気さで世界から愛される女優になった。初主演にしてアカデミー主演女優賞を射止めている。 audrey-cinema.com また「ティフ…