映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」 普通の大人になれなかったのか、普通じゃない大人になれなかったのか

人の営みを、時と街の移り変わりととも見つめている作品。

 

ボクたちはみんな30歳前には死ぬと嘘ぶいていた。だから何かになろうともがいていた。

 

結局、ボクたちはみんな「普通の」大人になれなかったのか。それともボクたちはみんな「普通じゃない」大人になれなかったのか。

 

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90年代の固有のカルチャーが出てきて「主人公(森山未來)の物語」のようだが、作品は俯瞰した眼差しで「普遍的な物語」に変容していく。つまりいつのまにか「わたしの、あなたの物語」になっていく。

 

さらに俯瞰的な視座だけでなく製作陣からの優しいフィルターが淡くかけられている気がする。人物たちの人生が優しく縁取られているということは、観客の人生もささやかに肯定されていることになる。

あんなにふたりを優しく切り取るセックスシーン。

円山町の煤けたラブホテルでの出来事だというのに、それは作り手によってこんなに美しいものにもなるのだ。

 

人物たちと距離を取って追いながら、時折寄り添うような作り手の優しさに心の中で泣きました。

 

#東京物語 も当時観客はこんな気持ちで見届けていたのだろうか。

 

取り上げられるカルチャーの中にセカチュウを入れてもよかったのに。ロミオ参上。

 

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