映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「ホロコーストの罪人」 ノルウェーという国に驚愕しながらスクリーンを見つめる

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アウシュビッツ を題材にした映画を観るのは、映画を観ることの意義のひとつだ。


戦争、政治、事件、社会。


エンタメ以外のそういうもの。


ボクは日頃食ったり呆けたりはずいぶんとしているのに、
大事なことについてはたくさん通り過ぎてしまっている。


全然足りないけれど、映画館での2時間は絶滅強制収容所のことを考えたい。


実話をベースにつくられた映画だ。

 

ホロコーストの罪人」


主人公カップルがむすばれるとき、
そのときのふたりの笑顔がとても可愛い。


むすばれたふたりが裸で抱き合うところも可愛い。


こんな優しい気持ちになるのは、
やがてふたりに訪れる不幸をボクが知っているからだろうか。

 

ふたりが抱き合うとき彼女のおっぱいも映るのだが
邪な気分にもならず、ふたりを祝福したい気持ちになる。


白くて健康的なふたりの裸がとてもまぶしい。

 

一方で主人公の両親が裸になるシーンも終盤にある。


老夫婦の節くれだった年季の入った身体。
若いふたりとは対照的な茶色い裸。


それをボクはなぜか「リアル」と感じる。


裸のふたりはコンクリートのシャワー室へ進んでいく。


裸足で寒々しく歩いていく先は、


もちろんシャワー室じゃなくガス室だ。

 

1983年生まれのノルウェー監督の作品。


ノルウェーが、自ら加担したノルウェーの罪を描いたことに驚愕する。


自分は、日本に住む自分は、
残念ながら驚愕しなければならないのだ。