映画「ハマのドン」 ただもの言うことが難しい国
□自分を大切にしすぎている
権力や組織に抗えるわけがない
そう思って生きている
しかし「ハマのドン」は
最高権力に異議申し立てをした
社会的に抹殺されるかもしれない
本当に殺されるかもしれない
惨めな人生になるのは必至だろう
でもそうだったとしてもドンに後悔などあろうか
そういうことが観ているうちにわかってきた
自分は少し自分を大切にしすぎて
いるのではないかと思った
それは結果として自分の本当に大切なものを
大切にしないという生き方になっている
映画を観ていてそう思った
□もの言えない空気
日本にカジノをつくる
これはアメリカと官邸が決めたことだ
カジノをつくれば1000億円規模の税収が
見込めると札束で市民や業者の頬を叩く
横浜は菅首相のお膝元
市長は19万人の反対署名を
無視してカジノを推進する
市長も役人も自分の意思など持てない
上意下達と諦めているのは市民も同じだ
しかし港湾のドンである藤木は違った
「港で博打はやらせない」
カジノは一瞬で破産を招き家族を不幸にする
子どもたちの未来にカジノはいらない
感動したのはドンが勝利したことではない
カジノがどうこうと言うことでもない
彼がもの言えない空気に勝ったことだ
敗北の可能性や結果の恐怖を顧みず
自分の意見を言った美しさだ
□例え受け取られなくても
ドン以外の人間模様にも見ごたえがあった
横浜市長の林文子は前の選挙で
「カジノは白紙」と言って当選した
しかし官邸の圧力で
カジノを横浜に誘致すると言わされた
しかし官邸は横浜でのカジノ推進の
旗色が悪くなると林を斬った
次の選挙で官邸は林を支援せず
国家公安委員会委員長の小此木を辞職させ
”カジノ中止”で出馬させて首長を獲りに行った
梯子を外され業者にだけ支援された林も
自民党の大応援を受けた小此木も落選した
一方でドンのもとには坊主頭の男が駆けつける
NYから来た村尾はカジノの設計者でありながら
カジノの弊害や搾取の仕組みを詳らかにした
なぜ彼は自分の仕事危うくしてまで
ノウハウを披露してドンを支援したのか
「人生において『これは自分がやれる』って
ときにはやらなきゃいけないんじゃないか」
市民たちは汗だくでカジノ反対のチラシを配る
受け取られなくてもやめない姿を観ていると
自分の中で何かがこみあげてくる
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