映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「ヴィレッジ」 映画は自由であるべきだ


□河村光庸(カワムラミツノブ)

彼は2022年6月に亡くなりました。

『妖怪の孫』を観に行ったとき、制作が「スターサンズ」であることに驚いたんです。

こういう命がけな政治ドキュメンタリー映画は、もっと無名の会社で制作されるイメージがありました。

それが『空白』、『ヤクザと家族』、『新聞記者』、『宮本から君へ』など今や日本映画で独自のきらめきを放っているスターサンズが手がけていた。

そして映画の中でスターサンズの代表でありプロデューサーの河村光庸氏が、制作途中に病気で亡くなったことが明かされました。

河村氏は2008年にスターサンズを立ち上げました。

藤井道人はインタビューで、2度断った『新聞記者』の監督依頼を「藤井君みたいに政治に興味のない人間がやるべきなんだ」と河村氏に押し切られたと語っています。

ドラマ版『新聞記者』の横浜流星が無関心な就活生から徐々に社会矛盾に気づき、新聞記者に志願していくストーリーと重なります。

藤井道人監督は、『新聞記者』でも本作『Village』でも横浜流星に自分自身を仮託しているのかもしれないですね。

あゝ、荒野』『愛しのアイリーン』『新聞記者』『宮本から君へ』『MOTHER マザー』『ヤクザと家族 The Family』『パンケーキを毒見する』『空白』『妖怪の孫』

スターサンズ=河村プロデューサーの作品は、日本を叩き起こそうとするような痛烈な作品が目立ちます。

もちろん政治や現代人に対する異議申し立ても容赦ありません。

そういう意味で河村氏が「新藤兼人映画賞」を受賞したのは納得できます。

独立プロで社会派の作品を撮り続けた新藤兼人の名を冠した賞は、河村氏によく似合います。

他に藤井道人が語るところによると、河村氏はエリマキトカゲや星の砂を流行らせた人物であるとか、映画は「ソーシャルグッド」でありながらも「ビジネス」として成立することに絶対こだわっていたとか逸話が多いです。



藤井道人

彼が『新聞記者』の監督を務めたことを尊敬しています。

勇気が必要だったろうと想像します。

関わったキャストやスタッフにも敬意を表します。

河村氏が言ったように「映画は自由であるべき」です。

分断や偏見、持たざる者がさらに持てない社会、本音で生きられない国。

こうしたものを映画にしないなら、いったい何をスクリーンに映すというのでしょう。

しかも藤井監督の映像は美しい。

美しくて、仄暗い。

その映像で押して、押して、押しまくって真実にたどり着いて欲しいです。

ナレーションや説明台詞なんか要らないです。

本作「Village」の映像も圧巻でした。

画面に圧がありました、力がありました。

役者の演技についてはポスタービジュアルが物語っています。

この顔つきはポスターだけの羊頭狗肉ではありませんでした。

首から上だけのお芝居ではなく、舞台ばりの全身でのパフォーマンスに釘付けになりました。



□「映画の自由」に加担しよう

藤井監督の代表作の興行収入は以下の通りです。

1 『余命10年』 30億円 制作:ROBOT 配給:ワーナーブラザー
2 『新聞記者』  6億円 制作・配給:スターサンズ
3 『ヤクザと家族 The Family』 5億円  制作・配給:スターサンズ

余談ですが『新聞記者』が最後に数字を伸ばしたのは「日本アカデミー賞」受賞の影響です。

茶番と疑う賞ですが、このときの日本アカデミー賞の判断ばかりは驚きました。

政権への目配せを勇気をもって振り切ってナイスです!

おもしろいのがこのインスタで好きな藤井作品をお聞きしたら支持率はこうでした。

回答してくださった21人のみなさんありがとうございます。

1 『ヤクザと家族 The Family』 62%
2 『新聞記者』 33%
3 『余命10年』 5%

興行収入と真逆の結果となりました。
『余命10年』が悪いというのではなく、スターサンズ制作の社会批判を含むような2作品が上位というのが興味深いです。

映画館に行きませんかと言いたいです。

もちろんかっけー横浜流星目当てでもいい。

彼は暗くて素晴らしい演技をしています。

映画作品を支えるパトロンはスポンサー企業ではなく政府の助成金でもなく、観客でありたいと思います。

藤井監督とスターサンズに次の作品も撮らせませんか。

勇気ある作品をつくっている彼らに勇気を与えるのは観客。

河村氏は本作の撮影後に亡くなり、完成作品は観られなかったそうです。

「映画は自由であるべきだ」には、われわれ観客の加担が不可欠だと思うんです。




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