映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

ドラマ「透明なゆりかご」 それでも子どもがほしいと思えた

□「透明なゆりかご」(全10話) 

NHKオンデマンドで視聴

2018年に放送され多くのドラマ賞を獲得。

脚本は「 #100万回言えばよかった 」「 #きのう何食べた? 」の安達奈緒子

出演は清原果耶、瀬戸康史水川あさみ原田美枝子酒井若菜ほか

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□生まれる命と消える命が、絶えず交差する場所

清原果耶が演じる看護婦見習いのアオイの視点を通して、”生まれる命と消える命が、絶えず交差する場所”としての産婦人科での日々を描く。

人工中絶、母体死亡、14歳の妊娠、性暴力などのテーマを真正面から取り上げている。

つらい現実もあるがその半面、生命の誕生というまばゆいほどの感動も同時に体験できる。

全体が誠実で納得感のあるつくりになっており、ドラマを盛り立てることを目的とした大仰な筋立てやセリフ、キャラクターは注意深く排されている。

清原果耶演じるアオイは人の気持ちを推しはかることが困難で、それが原因で母との関係に苦しんだ過去がある。産婦人科での体験を機に母との関係を回復させるというサイドストーリーも見ごたえがある。

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□本当の人間の美しさ

「子どもがほしい」

このドラマを観て何度も思った。

”出産”というプリミティブなことがどうしてこんなに困難になってしまったのだろうという現実を味わったが、その何倍も命の美しさを教えてもらったドラマだった。

自分はもう子どもを持つことはかなわないと思うが、それでも「子どもがほしい」と思えたこと、それはこのドラマの素晴らしさだと思う。

あり得たかもしれない人生や他者の人生に共鳴できる。自分ではない人生を想像できるのは、人間の祝福すべき特質ではないだろうか。

清原果耶が素晴らしかった。ひっつめ髪でおでこのニキビが映ることも厭わず、不器用だけど懸命に妊婦に寄り添うアオイを演じた。本来美しい女優さんだが、外見的な美しさを封印し、役柄に命を吹き込むことを優先した。

目を剥き、涙をボロボロ流し、大きな声で驚き、人工中絶後の命のかけらにそっと声を掛ける。清原果耶と制作陣がつくったアオイという人物は、本当の意味で美しかった。


✨各回のゲストキャストも映画好きには嬉しい役者さんばかり✨

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