映画「峠 最後のサムライ」 私、いい加減です
こんにちはノブです。
今日は6月17日公開の「峠 最後のサムライ」です。
いってみましょう!
累計発行部数398万部超の大ベストセラーとして今なお読まれ続けている司馬遼太郎の名著「峠」が、待望の初映画化となる。世界的視野とリーダーシップで坂本龍馬と並び称され、敵対していた西郷隆盛や勝海舟さえもその死を惜しんだといわれる、知られざる英雄・河井継之助。「最後のサムライ」として正義を貫くその姿は、今に生きる私たちに何を語るのだろうか。
主演の河井継之助を演じるのは日本を代表する名優、役所広司。脚本にほれ込み、“理想のリーダー”たる継之助を力強く演じきった。継之助を支える妻、おすがには、数々のテレビ・映画・舞台で活躍を続ける松たか子。その他、前長岡藩主・牧野雪堂役の仲代達矢をはじめ、演技派のベテランから新進気鋭の若手まで、錚々たる豪華共演陣がそろった。
■待望の小泉監督最新作
観客などというものはいい加減です。
私はこの映画の公開を楽しみにしていました。
この作品が映画「ちはやふる」3部作を手掛けた小泉監督によるものだからです。
「ちはやふる」は、主演・広瀬すずの決して再現できない奇跡のような瞬間を収めた作品だと思います。
優れた若い女優には、まるですべてがひれ伏すような圧倒的な”旬間”ともいうべき刹那があると私は思います。
■変幻自在の小泉演出
さて「峠 最後のサムライ」です。
オープニングは、黄昏の山々を背景に雄々しい鷹が飛んでいるショット。
見事な重厚な画つくりで映画は開幕しました。
このショットはまさに「落日の幕藩体制」を象徴していると感じ入りました。
映画のテンポは極めて重厚です。
「ちはやふるの」の軽快なテンポとはまったく対照的で、小泉監督の多才ぶりに舌を巻きます。
キャスト陣がすごい。
役所広司や松たか子はもちろんですが、黒澤作品や小津作品のレジェンドが結集。
この錚々たる俳優陣への演出を任されるとは、小泉監督まったく末恐ろしい男。
威風堂々たる調べでドラマは続いていきます。
つづいて、つづいて、......つZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ
おっと失敬いたしました。
■いまそこにある"内戦"
しかしこの国でわずか150年前に内戦があったわけで、本来は外国からの脅威に対して挙国体制で臨むべきですが、こういう時こそ冷静であった国論が過激に噴出するのだと認識しました。
現代でももし大きな外憂が起これば、右傾思想とリベラル思想が先鋭化して不幸な国内対立が起きるかもしれないといやな想像がはたらきます。
この作品で役所広司は長岡藩の河井継之助を演じていますが、2011年に「聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実」でも長岡出身の山本五十六を演じています。
両者とも長岡出身の非戦論者という設定であるがゆえに、役所広司に非戦論の象徴ようなイメージを抱きそうになります。
日本の至宝である役所さんは、映画のなかでは、やくざでも、右でも、左でも、好きに暴れてほしいところです。
■観客はいい加減である
お、映画が終わります。
出ました。
やはり出ました。
「ちはやふる」ファンとしてはしびれます。
小泉監督、ここで短歌を持ってきたか。
小泉監督のセフルオマージュですね。
形こそ深山(みやま)隠れの朽木なれ
心は花になさばなりなむ
姿こそ山奥の朽ち木のようなありさまだが、心次第で花は咲くものだ。
決まった!
決まりました、小泉監督。
そしてエンディングは石川さゆりです。
「ちはやふる」はperfumeでしたが、小泉監督ったらすげーのね。
もう懐ガッバガバにすげーのね。
観客などというものは実にいい加減です。
いや、巻き込んではいけませんね。
私、いい加減です。
「ちはやふる」
小泉徳宏監督 42歳 今秋新作「線は、僕を描く」(横浜流星 清原果耶)
「峠 最後のサムライ」
上映後に気づきました。