映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「シスター夏のわかれ道」 ショートカットを笑わせろ

まさか中国でデモが起きた。

果敢な彼らにどうやって心を寄せたらいいかわからない。

自分がデモに加わるわけにも行くまい。
しかし心が落ち着かない。

だから中国映画に行くことにした。

そしたらいつも何かに怒っているショートカットにますます落ち着かなかった。主演チャン・ツィフォン。

彼女はピンクフロイドのTシャツ着てた。

医者を目指していた彼女に突然現れた6歳の弟。

一人っ子政策、家父長制、姉の役割、弟への思い、伯母さんの自己犠牲人生。

自分の人生を生きるか、姉として生きるかという命題。

ピンクフロイドの彼女にもはや選択の余地はあるまい。自分の人生を行け。

どんな伝統やしがらみがあろうとこれは彼女のデモだ。

傷ついても、傷つけても自分の人生を求め続けなければならない。

きっとうまくはいかないだろう。
傷つき、後悔するだろう。

たとえばフランス革命のことを思う。
莫大な遠回りと莫大な殺人と莫大な妥協。

しかし彼女だけが背負う命題ではないのだ。
みんなで少しずつ背負うのだと「ベイビー・ブローカー」は示していた。

自己犠牲なんてしなくていいように共同体がある。
家族や血縁では解決できない問題のために私たちは社会を創ってきた。

それこそ”社会主義”ってことじゃねえのか。
時間、金、知恵、労力を供出し合う世界。

二項対立を彼女に迫らない。
ショートカットを笑わせろ。

隣国のデモを思うことは、自国を相対的に思うことに他ならない。

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