映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「きっと地上には満天の星」 女はトイレで悲しみを流すのか

女の子がサラダをぶちまけた。
マクドナルドでシャカシャカするやつ。
胡麻ドレ臭く派手にレタスが散乱した。
ママは怒らず、その子の顔とテーブルと床を拭った。

ママはすごいな。
君たちの関係ってすごいな。
そう思ったのが先日のこと。

littles-wings.com


母性とは、子どもへの愛なのか、
自己愛なのか。

本作の感想コメントで

こういう言葉を目にした。


なるほど”自己愛”か。

海よりも深い母の愛情は、
自己愛の面もあるのかもしれない。

母から生れ出た子どもとは、
母にとって自分そのものかもしれない。

だからこその優しさ。
だからこその執着。

オレは男だからか、
「なんでいつも女ばかりが苦労するんだよ」
と90分間ジリジリして観ていた。

こういう題材の映画では
だいたいいつもそうだ。

17歳の瞳に映る世界 ベイビーブローカー 朝が来る 

Room 茜色に焼かれる…

男はどこへ行ったんだよ、男はと。
そしてさらに社会はどこに行ったんだよと。

まさに映像の真骨頂という作品だ。
リトルに見えている世界、
リトルに聞こえる街の音、
観客はそれを同じように体験する。

リトルにとって、
地下の貧民窟でも”家”であり、
ジャンキーでも”ママ”であり、
ビルの灯りなんて”死んだ星”である。
それを彼女と一緒に体感できた。

ニッキーはリトルがお漏らししても
怒らなかった。
ニッキー、あんた”女”だ。
マブいぜ、あんたの味方でいるよ。

トイレでリトルのおしっこを拭いてあげたね。
トイレで女は悲しみも流してんだな。

子どもって母親だけが
背負うものではないだろ。

産むのは女、
養い育てるのはみんな。

人間社会って野性じゃないだろ。
オレ、法律守って、納税してるよ。
相互扶助のためにつくったのが社会だろ。

顔が悪くても、頭が悪くても、性格悪くても、
金がなくても、親がなくても、家がなくても、
死ななくていいようにしたんだろ。

この世は絶望だらけだな。
それを示すような映画いっぱいやってくれ。
絶望があるなら、どんどん映画にしよう。

みんなでそういう映画観まくろうぜ。

それでその絶望をずっと思い悩んで、
その絶望を晴らすことを模索して、
そんななかで生きたり
死んだりしていこうぜ。

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#kbcシネマ
#映画好きな人と繋がりたい