映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「プアン 友だちと呼ばせて」 自分の恥部を意識する


嫌いな映画は、オレの妬みと恥部を意識させる映画だ。

多くの人はこの粋で洒落た映画を楽しく
鑑賞しているだろうに、
なんだって自分はジリジリと
嫌な気持ちで鑑賞するんだろう。

まったく自分を呪いたくなる。

ボスのようなNYでシェイカー振ってる
テストステロン男には妬みしか抱けない。
しかも西洋女とセックスしているなんて。
オレはふつうのセックスすら
ままならないというのに。
こんないけ好かない男と129分間も
映画で旅するはめになる。

ウードにもやはり黒い嫉妬しか抱けない。
優しく微笑みながら昔の恋人たちを
訪ねることに「ケッ」と反吐を吐く。
自分は、自分はどうだっただろうか。
好きになった人に結局ひどいことしか
していない気がする。
”若くて幼かった”と言いたいところだが、
たぶん本質がクズなんだろう。
なんとなく良識ぶっているが、隠れクズなんだ。

恥部。
自分の恥部を意識する。

gaga.ne.jp

なにより嫌いなのは男女3人が若き日の
過ちを清算し、晴れやかな顔をしているところだ。
若き日のエゴと性欲と狡猾と焦燥と残酷を
彼らは超克した。

まったく嫌いだ。

みなさんはこの映画から嫌な記憶が
開いたりはないのかな。

若き日のさまざまを思い返すと、
無理やり大衆の前で恥部をさらされるような
酸っぱい思いになる。
あの頃の悔恨で叫びだしたくなる。

そして後悔しているにも関わらずこうも思う。

過去に戻って同じ状況になってもまた俺は犯す。
卑屈な振る舞いで彼女を、友人を強かに裏切る。

そんなことをスクリーンを前にして
自分にグサグサと刻む。

ヴィンテージ車に乗り、
カセットで粋な音楽をかけ、
君へのカクテルをつくり、
過去を清算し、
化学療法に踏み出すという、
この映画が嫌いだ。

許せるのは口が臭いところだけだ。
いくら友人とはいえ他人の歯ブラシで
その臭いのを磨くのか?!
オリジナリティがあっていいね。

ロードムービー
自分の恥部をめぐり、
自分の醜い妬みの心を訪ねるロードだった。

きっと映画のせいじゃない。
映画はいつも動かない。
動いているのはこちらの心ばかりだ。

心が動いたってことは、
もしや、いい映画なのか⁉

でもやはり、はやく口直しの一本を観たいよ。
このパクチー映画め。

#プアン #友だちと呼ばせて #KBCシネマ #映画好きな人と繋がりたい