映画「search/サーチ2」 教えてSiri
□映画の革新か
ニック・ジョンソンとウィル・メリック。
この名前は覚えていた方がいいと思った。
監督・脚本を務めた30前後の若いふたりだ。
もしやルーカス&スピルバーグのような存在になるのではないか。
この映画はおもしろいだけじゃない。
革新的だと思う。
本作の斬新さとスピード感に度肝を抜かれた。
クールな主人公がアプリを駆使して母を探し出す。
全編がデバイス画面で進行するがこれってどう撮ってるの?
PCやスマホの画面に撮影カメラを向けているの?
もちろんそうではない。
グラフィックやアニメーションを駆使して「PC画面を創作している」のだ。
この撮影技法を「スクリーンライフ」という。
彼らは27週間かけてビデオコンテをつくったうえで撮影をスタートさせている。
俳優はデバイスを操作しているのではなく、コンテにもとづいてあたかも画面に反応しているかのように「目線の立ち位置」を合わせているだけなのだ。
どうですか?クラクラしませんか?
俳優の仕事は『スターウォーズ』で敵の襲来を受けているようにリアクションしたり、『ジュラシックパーク』で恐竜がいると想定して驚いたりするのと似ている。
バーチャルロケーションで展開しているような映画を「創り出す」。
そのイマジネーションと技術への探究心こそが映画の革新。
これをやり遂げた若いふたり。
彼らなら新しい映画の地平を切り拓きそうだ。
□ミステリーとドラマも
本作は「スクリーンライフ」だけでなくストーリーやモチーフも好ましかった。
そのあたりが貧弱だとただの「技術すごいだろ映画」で終わってしまう。
デジタルネイティブである娘が失踪した母を探す。
その過程で母の謎が表面化し、当然娘である自分にも強く関連する。
アイデンティティの危機に直面する彼女を助けるのは異国の純朴なおじさん。
このおじさんとのやりとりは画面越しだが、ある共通点から友情が芽生える。
そしてとうとう娘にとって驚きの真実が判明する。
それは人間の罪と業。
最後に必要だったのは、デジタルリテラシーと勇気。
母のデジタル音痴が重要な決定打となるなんてのもイキ!
まるで宮部みゆきを想起させるようなミステリーと人間ドラマの共存にとても満足でした。
□どう生きていけばいいの
ただ...
映画の評価とは関係ないけど不安になったことがある。
デジタルの進歩について行ける自信がないよ。 LINEだってトークしかできないのに。
監視カメラでお見通しなんて恐ろしいよ。
PWもあっという間に解かれちゃうよ。
そもそもPWいつもわからんくなるけど。
みなさんも少なからずそう思いませんでした?
デジタル過ぎる世界はある意味ホラー。
「Hey Siri、これからどうやって生きればいいの」
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