映画「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」 彼女たちの涙にこそある
肉親や仲間の命を奪われた悲しみは、憎悪に変じる。
憎悪を清算するのに、相手にも同等の苦しみを求める。
殺されたから殺す。
死は死で償って当然だ。
しかし人間が恩讐の彼方に武器を置くことができたら、返報を放棄することができたら。
できたところで、憎しみも不条理も消えはしない。
一粒も消えない。
まったく許すことはできない。
慟哭はやまない。
慟哭のままに、しかし相手の死を放棄すること。
日米で、そして中国で、この映画が多くの方に支持され、”死の返報”について勇気ある進展をしてほしいと願う。
小国ワカンダが先進国である理由が、ヴィブラニウムやブラックパンサーといったスーパーパワーの所有にあるのではなく、憎悪と武器を置いた彼女たちの涙にこそあると思いたい。
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