映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」 彼女たちの涙にこそある

肉親や仲間の命を奪われた悲しみは、憎悪に変じる。

憎悪を清算するのに、相手にも同等の苦しみを求める。


殺されたから殺す。
死は死で償って当然だ。

しかし人間が恩讐の彼方に武器を置くことができたら、返報を放棄することができたら。

できたところで、憎しみも不条理も消えはしない。

一粒も消えない。
まったく許すことはできない。
慟哭はやまない。

慟哭のままに、しかし相手の死を放棄すること。

日米で、そして中国で、この映画が多くの方に支持され、”死の返報”について勇気ある進展をしてほしいと願う。

小国ワカンダが先進国である理由が、ヴィブラニウムやブラックパンサーといったスーパーパワーの所有にあるのではなく、憎悪と武器を置いた彼女たちの涙にこそあると思いたい。

#ブラックパンサー
#ブラックパンサーワカンダフォーエバー