映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「シャイニー・シュリンプス 世界に羽ばたけ」 カラスたちは同性愛にならないのか

リベラルを自認する身としては本作を鑑賞して「多様性バンザイ!」と快哉を叫ぶ予定だった。

しかし、おそらくロシアであろう矯正施設の責任者が”自然の摂理”に則って性的マイノリティを治療すると語った場面あたりからなんだか考え込んでしまった。

”自然の摂理”

実際ロシアではゲイ・プロパガンダ禁止法があり児童に悪影響を及ぼすとしてゲイ・プライド・マーチなどの権利擁護運動が禁じられている。2013年にロシア南部で同性愛を告白した23歳の男性が複数人から暴行を受け殺害された。またチェチェンにおいてLGBTQの迫害が実行されている。

男と女がいて、子どもが生まれる。その子どもが異性と結ばれ、また子どもが生まれる。

しかし同性愛は繁殖できない。

杉田水脈はそれを同性カップルは”生産性がない”と表現した。

オレが為政者ならどうするか。

オレ(為政者)の役割が国を繫栄させることならば、繁殖・安全・豊かさを死守しなければならない。

ならば繁殖に協力できない同性愛者には税金を使いたくないのが本音だろう。

しかしまあいろんな人間がいるのも確かで、マイノリティにも生きやすい世の中にしたいくらいのことは政治家のプライドとして思うだろう。

「いいよ、いいよ、いろんな性的指向や生き方があって、”みんな違ってみんないい”だよね。」

国が豊かで同性愛者がごく少数なうちはそう言って微笑んでいられるだろう。

しかし、国民の2割が同性愛で、そのほかに3割が生涯未婚で繁殖しないとなったらどうするだろう。

生涯未婚に対しては婚姻しやすい政治的施策を打つだろうか。

同性愛に対してはどうするのか。

放任するか。  

同性愛者を増加させない政策を打つか。

わかってる。こんなナイーヴさでは為政者になってはいけない。

個人に好き勝手やられたら国家は破滅だと為政者は考える。国家繁栄を担う為政者が強権的になるのは構造的メカニズムだ。

オレも子どもつくらないから繁殖に背を向けている”生産性のない”人間だ。

国家から見ればマメだ。

よく働き(勤労の義務)、子どもを産み育て(教育を受けさせる義務)、税金を収める(納税の義務)のが純正品の方の国民。

それを連綿と回すことでしか人間世界は保たれない。

カブトムシやカラスたちは、同性愛になったり、セックスや情愛にうんざりしていないのだろうか。

自然の摂理とはなんだ。

同性を好きになる心の動きも自然だし、結婚したくないのも子どもをつくる気が起きないのも自然ではないのだろうか。

個人の自由は、つまりは人間世界を蝕むのだろうか。

いろんなマイノリティも受容して共生するところが人間の面目躍如、他の生物と違うところだと信じたい。

しかし受容できないスピードでなにがマイノリティでなにがマジョリティなのか入り組み始めている。

なんだか人間ってやつはうまくない。

カブトムシやカラスがきっと奇異な目で見ているんだろう。それとも気の毒だと思ってくれているのだろうか。

私たち人間は全体で朽ちていく方向にしずしずと行進しているイメージが浮かぶ。

先ほど極端な例として生涯未婚率を3割と書いたが、直近の男性生涯未婚率は28%だった。

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