映画「愛する人に伝える言葉」 観客である私も死んだ
主人公バンジャマンと一緒に死ぬことができる映画だ。
死ぬことは怖かった。
なにも成し遂げていないのに死ぬと思ったらとても哀しかった。
オレは演劇教師なのだが、生徒の肌と肌が重なるところが愛そのものに輝いて見えた。
もっと演技レッスンがしたくなった。
うまい演技なんかするな、おそれず自分を解放しろ。
ドクターと看護師が歌っていたよ。
楽器を鳴らし、手を叩き、笑顔でね。
それは希望なのか。
わからないけど”ああ人間だ”と久しぶりに思った。
看護師に恋をした。
指輪をしてたけど。
母さんの顔をたくさん見た。
ぜんぜん優しくできなかった。
息子を認知しなかったことを心底後悔して死ぬことになった。
オレは本当になんだったんだろう。
オレが死ぬとき、親愛なるドクターと親愛なる看護師は非番だった。
だから前の日にさよならした。
大好きな看護師が病室を出て行った。
次の日、母さんが席を立ったときに死んだ。
許して、許すよ、ありがとう、愛してる、さようなら。
観客である私も死んだ。
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