映画「マイ・ブロークン・マリコ」 遺骨のあんたと川を渡る
ダチのマリコ(奈緒)を亡くしたシイノ(永野芽郁)は、遺骨を抱いて旅に出る。
いまどき「ダチ」だって、いいね。
シイノは、ラーメンひと口がやけにデカくて、スマホの画面が割れていて、「クソ上司」と登録していて、営業職なのに髪が明るくて、靴のスペアがなくて、足を広げてタバコを吸う。いいね、なかなか。
旅の途中、バスの中でシイノは楽しそうな女子高生3人組より、ひとりポツンとしている方の女子高生に心を寄せる。
言葉も交わしていないのに、車窓からその彼女に手を振ったりする。
そしてなんでか知らないが、シイノはバスから降りたらバスにも手を振る。
そんなだからきっとマリコはシイノを親友に選んだんだろうな。
マリコは何度かシイノに「シイちゃんと一緒に住みたい」と言っていた。
そして、一番ブスな保護猫も飼おうよと。
一緒に住めばマリコは死ななかったのか。
いや、それは違うか。
遺骨と旅してやることはできるが、一緒に住んでずっとマリコの手を握っていてやることは、それはできない。
人はひとりだ。
一緒に旅はできても、ずっと助け続けることはできない。
残念ながら親友でさえもだ。
遺骨を抱いたシイノがオレンジ色と黄色の中間、アンバーの夕景に照らされて美しかった。
明るい髪と、ベージュのトレンチコートと、背後のススキが、黄昏に輝く。
もっとふたりの場面を観たかった。ずっとふたりの場面を観たかった。
ダチが死んだら自分はどうするのかなぁ。
もうこの世で生きているのがつまらないから死のうかな。
それもいいと思う。
この世に対する執着はそれくらいがいいだろう。
そうしないと死ぬのがこわくなっちゃうよ。絶対死ぬっていうのに。この世で生きることより、ダチといることに執着がある方が健全な気がする。
高校生のとき実の娘を強姦したテメエにマリコは渡さない、あたしはマリコの幼馴染だ、刺し違えたってマリコはあたしが連れていくと叫び、自分をかえりみず窓から飛び降り、そのままマリコを胸にかき抱いてバシャバシャと川を渡っていく。
マリコはきっとうれしかっただろう。オレならうれしい。永野芽郁ならなおさらだ。
#マイブロークンマリコ
#永野芽衣
#奈緒
#タナダユキ
#平庫ワカ