映画館に帰ります。

暗がりで身を沈めてスクリーンを見つめること。何かを考えたり、何も考えなかったり、何かを思い出したり、途中でトイレに行ったり。現実を生きるために映画館はいつもミカタでいてくれます。作品内容の一部にふれることもあります。みなさんの映画を観たご感想も楽しみにしております。

映画「灼熱の魂」 大いに沈痛なれ

昨日の「NOPE」に続いて心を射貫かれたような衝撃を受ける。内容にふれられないほどの映画に遭う。

おい、映画館よ。殺す気か。

鑑賞後に誰かと語らいたくなる映画はあまたあるが、本作は沈黙を強いられる。あまりのことに口がきけないというか、なんというか。

”感想”を語って本作の痛みを薄めたくないというか、何も語らずして本作の痛みが体の一部になってほしいというか、そんな想いにとらわれる。

劇場に向かっているときは「ドゥニ・ヴィルヌーヴ」早口言葉でのん気に遊んでいたのに。「DUNE/デューン 砂の惑星」「ボーダーライン」しか知らないから、どんな映画なんだろうとワクワクしていたのに。もうあのときの楽しいオレには戻れない。

incendies-movie.com


髪を刈られる少年の大きな瞳はまばたきせずにこちらを見ていて、思わず目を逸らしたくなる。

憎しみの連鎖を断つため、自分の全身と全人生をまるで賭け事のチップのようにして、あえて反対側の色にベットした女に何を思えばいいのか。

「1+1=1」で双子の姉とともに観客である自分自身も心臓が止まりそうになるという映画体験はもう二度とあるまい。

おい、オレよ。この映画で大いに沈痛なれ。

2011年の作品を再公開してくれた映画関係者に感謝。おかげでドゥニ・ヴィルヌーヴはもう噛まないで言える。

#ドゥニヴィルヌーヴ
#灼熱の魂
#DUNE 
#砂の惑星
#KBCシネマ
#映画好きと繋がりたい