映画「アトランティス」 戦争には体温がない
戦争とは何か。
外交手段のひとつ
課題解決のための止む無き手段
有史以来繰り返されてきた人間の本能
祖国ウクライナを守るための戦争。そのあとに残ったものは、溶鉱炉に身を投げる元兵士、地雷で荒廃した大地、無数の死体袋。
この作品は長回しで撮られ、硬質な色調で、劇伴はなく、人間は風景や什器と等価で配置され、兵士は実在の兵士が演じている。
戦争とはなにかを問うには、残念ながらこうした”無機質な”技法が最適である。戦争はすべてを無機質にするからである。
無機質な中で、人間に体温があるのだということを一瞬だけ監督は示す。
体温がある。
体温があるのだ。
沈黙で目の前にそのことを差し出してくる。
そして戦争には体温がない。
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